世界中でECやサービス展開を進める企業にとって、日本市場は依然として大きな魅力を持っています。
人口減少が進んでいるとはいえ、購買力の高さ・ブランドへの信頼・アジアのハブ的な地位は健在です。
特に韓国・中国・東南アジアのメーカーや、欧米のITスタートアップにとって、日本は「進出したいがハードルが高い市場」として位置付けられています。
しかし、海外企業が日本に拠点を構えるには課題が山積みです。
東京や大阪のオフィス賃料は世界的に見ても高額で、法人設立には住所が必要。
さらに、取引先や顧客から信用を得るためには「一等地の住所」や「日本での連絡先」が欠かせません。
この課題を低コストで解決する手段として注目されているのが バーチャルオフィス です。
実際の執務スペースを借りることなく、住所・郵便・電話・会議室といった“オフィスの表機能”を利用できるサービスで、海外企業の日本進出をサポートする役割を果たしています。
特に最近では、東京の渋谷や銀座、日本橋といった都心部に加え、横浜エリアの需要も高まっています。
横浜は国際港湾都市として海外との結びつきが強く、東京よりもコストを抑えながら「首都圏の拠点」としてブランド力を発揮できるからです。
本記事では、海外企業が日本進出時に直面する課題と、バーチャルオフィスを活用した解決策を具体例を交えて徹底解説します。
「東京か横浜に拠点を持ちたいが、コストは最小限に抑えたい」──そんな企業に最適な選択肢を提示します。
海外企業が日本進出で直面する主なハードル
1. 高額なオフィス賃料
東京の丸の内や渋谷、新宿はもちろん、横浜みなとみらいエリアでも賃料は高止まりしています。
特に海外から進出する際、いきなり数十万円〜数百万円の固定費を負担するのはリスクが大きいです。
2. 法人登記に必要な住所問題
日本で法人を設立するには登記住所が必須です。
しかし自宅やホテルでは登記できませんし、現地にスタッフがいなければ住所を確保できないため、スタート地点でつまずく企業も少なくありません。
3. 顧客・取引先からの信用確保
日本の企業文化では「住所=信用」の側面が非常に強いです。
渋谷や銀座、日本橋、あるいは横浜といった拠点を示せるだけで「しっかりと日本に根を下ろしている企業」という印象を与えられます。
4. 言語・文化・タイムゾーンの壁
日本市場に参入する海外企業は、問い合わせ対応や商談の場で言語や文化の違いによるミスマッチを抱えることも多いです。
現地に常駐スタッフを置けない場合、電話代行や郵便対応がないと顧客サポートが滞るリスクもあります。
バーチャルオフィスが提供する価値
こうした課題を一気に解決できるのがバーチャルオフィスです。
- 都心・横浜住所の利用
 → 「東京都渋谷区」「中央区銀座」「横浜市西区みなとみらい」など、一等地住所を自社の拠点として利用可能。
- 法人登記対応
 → 日本法人設立に必要な住所として利用できる。
 特に海外企業が日本支社や子会社を作る際に必須。
- 郵便物・宅配便の受け取り・転送
 → 行政書類や取引先からの契約書を受け取り、海外本社や国内担当者へ転送可能。
- 電話番号の提供・代行
 → 日本国内の電話番号(03・045など)を取得し、問い合わせを代行対応できる。
- 会議室利用
 → 必要に応じて顧客や取引先との打ち合わせを都心や横浜の会議室で実施可能。
これにより、海外企業は物理的なオフィスを持たなくても「日本で事業を展開している」という信用を得られます。
海外企業×バーチャルオフィスの成功例
成功例1:韓国コスメ企業が渋谷拠点で若年層に浸透
韓国発のコスメブランドA社は、K-POP人気を追い風に日本市場への参入を計画しました。
ただし、いきなり原宿や新宿に店舗を構えるのはリスクが高いと判断。
まずは渋谷のバーチャルオフィスを契約し、公式ECサイトや商品パッケージに「東京都渋谷区オフィス」と記載しました。
これにより日本の顧客に「日本法人が運営している」という安心感を与え、インフルエンサー施策とあわせて売上を拡大。
1年後には常設店舗を渋谷に構えるまでに成長しました。
成功例2:欧米IT企業が横浜を日本拠点に選択
欧米のスタートアップB社は、アジア太平洋地域のハブとして日本を重要視していました。
しかし東京のオフィス賃料の高さに懸念を持ち、横浜のみなとみらいエリアのバーチャルオフィスを契約。
横浜は港湾都市であり、国際的なビジネス交流が盛んな地域。
「Yokohama Office」を公式サイトに記載したところ、国内外の取引先から「首都圏の拠点」として評価され、商談や投資家との接点も増加しました。
低コストでブランド力を確保できたことが、のちの日本法人設立への足がかりとなりました。
成功例3:東南アジア食品メーカーが日本橋拠点で信頼獲得
C社は東南アジアの食品メーカー。日本のECモールでの販売を狙っていましたが、消費者の食品に対する信頼性のハードルが高いことを痛感しました。
そこで日本橋のバーチャルオフィスを契約し、法人登記を実施。
「東京・日本橋の法人が輸入・販売している」という表記により、消費者や取引先からの信頼を獲得。
結果、複数のスーパーや百貨店との取引が成立し、日本での販売網を拡大しました。
海外企業×バーチャルオフィスの失敗例
失敗例1:格安オフィスを選んで登記できず
中国の小規模企業D社は、日本進出のために格安のバーチャルオフィスを契約しました。
しかし、後からそのオフィスが「法人登記不可」であることが判明。
銀行口座開設や取引契約ができず、事業計画が大幅に遅延しました。
教訓:海外企業は特に「法人登記対応」の有無を最初に確認すべき。
失敗例2:郵便転送の遅延で行政手続きがストップ
欧州のスタートアップE社は、東京都内のバーチャルオフィスを利用していましたが、郵便転送が週1回のプランでした。
そのため、入管からの重要書類を受け取るのが遅れ、ビザ申請の期限を逃してしまいました。
結果、担当者の滞在延長ができず、日本法人の設立が半年以上遅れるという大きな損失につながりました。
教訓:行政書類を扱う場合は、即日スキャン通知や毎日転送が必須。
失敗例3:日本での連絡先がなく信用を失う
東南アジアのEC企業F社は、住所だけ契約し電話サービスを利用していませんでした。
しかし、日本の取引先から「電話で直接担当者につながらないのは不安」と言われ、商談が破談。
教訓:住所だけでなく、電話番号や代行サービスもセットで導入すべき。
よくあるQ&A|海外企業の日本進出とバーチャルオフィス
Q1. 海外企業でもバーチャルオフィスを契約できるの?
A. はい、可能です。
パスポートや法人登記簿など必要書類を揃えれば、多くの業者で契約できます。
ただし「外国籍契約者不可」「国内代理人が必要」など制約がある場合もあるため、事前に確認が必須です。
Q2. 日本で法人登記に使える?
A. できます。
登記対応バーチャルオフィスを選べば、海外企業の子会社や日本法人の設立時に住所を利用可能です。
ただし銀行や税務署の審査では「実在性」が重視されるため、信頼性のある運営会社を選ぶことが大切です。
Q3. 日本の銀行口座開設に使える?
A. 可能ですが、銀行によっては「バーチャルオフィス不可」としている場合もあります。
近年は審査が厳格化しているため、法人登記実績が豊富なオフィスを選ぶことで開設の成功率が上がります。
Q4. 電話や郵便の対応もできる?
A. はい。
- 電話番号(03や045など)を取得して顧客サポートに利用可能
- 電話代行で日本語対応も可能
- 郵便や宅配便は即日スキャンや転送で海外本社へ送付できる
これにより、現地スタッフが常駐していなくても「日本で事業を展開している」印象を与えられます。
Q5. 東京と横浜、どちらが良い?
A. 目的によって異なります。
- 東京(渋谷・銀座・日本橋など)
 → 投資家・大企業との接点が多く、ブランド力が強い。
- 横浜(みなとみらい・関内など)
 → 国際都市としての立地を活かせ、コストを抑えながら首都圏拠点を確保できる。
Q6. 日本進出初期にバーチャルオフィスだけで大丈夫?
A. 初期は十分です。
マーケット調査やEC販売、法人設立の段階ではバーチャルオフィスで信用を担保できます。
規模が拡大して常駐スタッフが必要になった段階で、レンタルオフィスや実店舗に移行すれば無駄がありません。
海外企業における拠点の選択肢比較
海外企業が日本に進出する際によく検討する4つの選択肢を比較してみましょう。
| 項目 | 現地法人オフィス | バーチャルオフィス | レンタルオフィス | 代理店拠点 | 
|---|---|---|---|---|
| 月額コスト | 高額(数十万〜) | 低額(数千〜数万) | 中額(数万〜数十万) | 成果報酬や契約条件による | 
| 信用度 | 高い | 高い(一等地住所可) | 高い | 中〜高(代理店の信頼次第) | 
| 法人登記 | 可 | 可(対応業者のみ) | 可 | 不可 | 
| 銀行口座開設 | 可能 | 条件付きで可能 | 可能 | 不可 | 
| 電話・郵便対応 | 自社で対応 | 転送・代行可能 | 自社で対応 | 代理店対応 | 
| 会議室利用 | 専用 | 予約制で利用可 | 専用またはシェア | 代理店施設依存 | 
| 初期投資 | 高い(保証金・家具など) | ほぼ不要 | 一定必要 | 契約内容次第 | 
| 拡張性 | 高い | 法人規模に応じ移行可能 | 高い | 限定的 | 
比較から見えるポイント
- コストと信用を両立するならバーチャルオフィスが最適
 初期段階では特に有効。東京・横浜いずれもブランド力が強い。
- スケール拡大に合わせて移行可能
 最初はバーチャル → 成長後にレンタルや現地オフィスへ、というステップアップが効率的。
- 代理店任せはリスクも大きい
 代理店の信頼性に依存するため、自社で住所を確保した方が長期的には安定する。
ケーススタディ|バーチャルオフィスで日本進出を果たした海外企業の物語
ケース1:韓国スタートアップが渋谷を拠点にブランドを確立
韓国の美容系スタートアップA社は、国内で急成長を遂げた後、日本市場への進出を計画しました。
ただし、日本に実店舗を構えるだけの資金はなく、まずは 渋谷のバーチャルオフィス を契約。
公式ECサイトやプレスリリースに「Tokyo, Shibuya Office」と明記したところ、若年層からの信頼が高まりました。
さらに、渋谷の会議室を活用してインフルエンサーとの打ち合わせを実施。SNS施策との相乗効果で認知が一気に拡大しました。
結果:1年後には日本法人を設立し、常設店舗を原宿にオープンするまでに成長。
ケース2:欧米ITベンチャーが横浜で投資家を獲得
欧米のAIベンチャーB社は、アジア展開の第一歩として日本進出を決意しました。
しかし東京の賃料負担が大きすぎると判断し、横浜みなとみらいのバーチャルオフィスを拠点に選択。
海外投資家に対しては「首都圏に拠点を持っている」ことをアピールでき、国内企業からも「横浜なら打ち合わせに行きやすい」と好評。
さらに、横浜は港湾都市のため国際物流や外資系企業が集まっており、ネットワーク拡大に有利に働きました。
結果:日本での事業基盤を固めることに成功し、数億円規模の投資を獲得。
ケース3:東南アジア食品メーカーが日本橋で信頼を獲得
C社は東南アジア発の食品メーカー。健康食品を日本市場で展開しようとしましたが、当初は「安全性・信頼性」の壁に直面しました。
そこで 日本橋のバーチャルオフィス を契約し、日本法人として登記。
食品関連の行政手続きや輸入許可に必要な郵便物も、即日スキャン通知と転送サービスを利用してスムーズに処理できました。
さらに、取引先との打ち合わせを日本橋の会議室で行い、「きちんと東京に拠点を持つ会社」と印象付けることに成功。
結果:大手百貨店やスーパーと契約を結び、日本での販売網を確立。
ケース4:格安オフィスで失敗した中国企業
一方で失敗例もあります。
中国のD社は「とにかくコストを下げたい」と考え、月額数百円の格安オフィスを契約。
しかし後から 登記非対応 であることが判明し、銀行口座開設も不可能に。
さらに、その住所を検索すると怪しい会社が多数登記されていることが分かり、日本企業から「危険な会社では?」と疑われ、商談が破談しました。
結果:信頼回復に1年以上を要し、参入スピードが大きく遅れることに。
まとめ|海外企業にとってバーチャルオフィスは“日本進出の足がかり”
海外企業が日本進出を果たす際、最初に直面するのは 「住所」と「信用」 の問題です。
東京や横浜といった首都圏の一等地住所を持つことは、顧客・取引先・投資家に対して大きな安心感を与えます。
- 東京(渋谷・銀座・日本橋)
 → ブランド力、投資家・大企業との接点に強い
- 横浜(みなとみらい・関内)
 → 国際都市としての立地、コストメリット、物流や外資系ネットワークに強い
バーチャルオフィスを活用すれば、登記・郵便・電話・会議室といった必要機能を低コストで整えられ、初期段階でのリスクを最小限に抑えながら「日本に根を下ろす」ことができます。
日本進出を検討する海外企業にとって、バーチャルオフィスは単なる住所貸しではなく、“日本市場に挑むための戦略的インフラ” なのです。
